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思いがけない本との偶然の出会いを

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#39 さくらの芽BOOKS【2021年7月〜】

#39 さくらの芽BOOKS【2021年7月〜】

#39 さくらの芽BOOKS【2021年7月〜】

屋号名

さくらの芽BOOKS

棚番号

39

店主のお名前

iwakoshi

棚(小さな本屋)のコンセプト

  • 迷いや不安があるなかでの道しるべとなる本
  • 自分らしく自由に生きるためのヒントとなる本

棚のコンセプトをつくるに至った経緯

今までの自分の人生の岐路で本に影響を受けたり、励まされたりという経験があり、そういう本を自身でも作りたいと思い、出版社に勤務して、企画・編集の仕事をしていました。

棚には自分の企画・編集した本を中心におすすめしたい本を並べています。

心理、医療、コミュニケーション、自己啓発的なものなど、ジャンルを限定せずに並べていますので、よかったらのぞいてみてください。

おすすめの本

1 「ココロとカラダ 元気のしくみ」(著者・おのころ心平)

著者のおのころ心平氏は、23年間、カウンセリングの現場に身を置き、主に重い疾患を抱える多くのクライアントさんとセッションする中で、ココロが及ぼす病気への作用を研究してきました。この本では、病気になるしくみ、元気になるしくみ、ココロを元気にするカラダの使い方、カラダを元気にするココロの使い方を解説しています。

元気とは、もともと東洋医学における「気」の種類を指す用語です。

元気という「気」は生まれ持って私たちのカラダに備わっているもので、実感をもってカラダで体験できる気なのです。

気とは循環するもの、そしてその気が滞りなく循環するさまが「元気」な姿であると、東洋医学では教えられています。

そいういう意味では、カラダに毒素やストレスが蓄積したとき、血液やリンパを大いに循環させて一時的に腫れや熱を起こすのも、すっきりした自分に戻すカラダの元気の作用といえます。

おのころさんの知見から「病気になるときに体内では何が起きているか」や「ココロを元気にするカラダの使い方」、また「カラダを元気にする心の使い方」といったことを、伝えています。

“なんとなく元気が出ない、疲れが取れない”、“自分は病気かもしれない…”と感じている人におすすめの1冊です。

2 「対話する医療」(著者・孫大輔)

今、医療現場では「対話」が必要とされています。「対話」するということは、患者も医師も対等の立場に立ち、お互いの考えを深く理解できるような関係性を構築することを意味しています。

この本では、著者が実践している家庭医療、医療コミュニケーション、地域・コミュニティー活動、医学教育などについて、「対話」をキーワードに、様々なトピックを紹介しています。

と、いうと、固い専門書のように感じるかもしれませんが、この本は、医療現場の方々だけでなく、社会一般の方々、医療についてまったく詳しくない方、「対話」という言葉に興味を持った方、カフェでコーヒーをも飲みながら話をするのが好きな方など、どんな方にでも読みやすいように、わかりやすい言葉で書かれています。

医療について書かれた本なのに、ときどき下町と銭湯の話が出てきたり、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の話になったり、演劇や映画の話になったりと、「対話」をキーワードに、医療という枠を超えたいろいろな話が展開されています。

相手の価値観や相手の立場を理解しようとして共感を生むためにする対話が減っているこの世の中で、自分の考えを一方的に押し付けたり、伝えるだけでなく、対話を通して人と人の間に新たな意味や価値観を生み出していくことは、医療の現場以外でも、どのような人間関係においても大事なのではないかと思います。

3 「暗闇でも走る」(著者・安田祐輔)

発達障害による生きづらさ、父のDV、家庭不和、継母のいじめ、偏差値30から一流大学に入学、大企業に就職するも、うつ病を発症、ひきこもりになるなど、多くの挫折経験を持つ筆者が、困難を抱える学生向けの「キズキ共育塾」を起業するまでの体験記。

今は自身の経験から「何度でもやり直せる社会」を目指し、日本初の大規模な不登校中退者の進学塾を立ち上げ、子供たちの教育格差を解消するための活動などを精力的に行っている。

今の世の中は、一度レールから外れたら戻れなくなってしまい、長くにわたってひきこもったり、人生を投げやりに考えてしまう人も少なくないでしょう。

この本は生きづらさを抱える人々に、暗闇のなかでも道を見つけ出すことができるという希望、人生をやり直す勇気を与えてくれると思います。

「挫折はとても苦しいし、それが生まれ持った環境や発達特性に起因するものだと、なおさら苦しい。それでもその挫折を物語に変えることで、何かを掴めるかもしれない。悩み続けることで、人生は豊かになるかもしれない」と安田さんは言う。

地獄のように苦しかった経験もすべて糧にして、ひたむきに前に進み続ける安田さんの言葉は、優しくて力強く、清々しさを感じます。